『現代日本の金融システム−金融リテールの経済分析−』 第11集 平成16年度版 (平成17年7月発行)
廣江満郎
バブル崩壊後、日本経済が戦後類をみない長期低迷を経験するなかで、日本銀行の金融政策運営について、学会内外を問わず活発な議論が行われてきた。とりわけ2000年代に入ると、「ゼロ金利政策」、「量的金融政策」および「インフレ目標の導入」の有効性についてなど、金融政策を巡る話題に事欠かない状況である。
本研究は、ケインジアンとマネタリスト間のマクロ経済政策論争の1つとなったセントルイス連銀のエコノミスト達考案のセントルイス方程式(誘導型アプローチ)による政策効果の検証論議にスポットを当て、再度、このアプローチを1985年以降の激動の日本経済に適用して、財政金融政策の有効性について1つの検証を試みたものである。その結果、われわれがこれまで行ってきた分析結果(財政・金融政策が両者ともに有効である)と類似した結果が得られたこと、ただし経済・金融構造の変化を考慮して期間分割した場合(1998年以降を除く場合)であることを報告する。